法政大学エネルギー政策研究所のキックオフミーティングへ

本日午後は法政大学 多摩キャンパスにて、法政大学・エネルギー政策研究所主催の研究会「脱炭素時代の大学のあり方」に参加させていただきました。この研究会は地域連携などを通じて大学における脱炭素の取り組みを推進していくことを目的としており、今回がキックオフミーティングとなります。

メインとなる講演会では、三重大学地域イノベーション機構 坂内正明 名誉教授をお迎えして「三重大学スマートキャンパスの取り組みと成果」について、3時間にわたり詳細にご説明いただきました。三重大学はスマートキャンパスにおいて全国トップランナー。その仕掛人とも言えるのが坂内先生です。

ここ数ヵ月の台風による被害、真夏の猛暑など、近年気候変動が顕著となっており、炭酸ガスによる温室効果がその大きな要因の一つとなっている。そんな話題からスタートした坂内先生のお話しの中では、大学付属病院の入院患者も含めて1万人規模におよぶ大きな三重大学のキャンパスの中で、いかにしてスマートキャンパスを構築してきたか、具体的な技術の説明や、実績や推計の数値も交えながら丁寧にご解説をいただきました。

二酸化炭素削減における具体策としては、風力発電や太陽光発電を活用した創エネの取り組みはもちろんのこと、石炭に比べて環境負荷の少ない都市ガスを利用したガスコージェネレーションシステムを使用して電気を発生し、排熱を利用して熱も供給するといった、費用対効果の視点でも現実的な手段を選択して、着実に成果を生んでいることが印象的でした。ちなみに、ガスコージェネレーションシステムの投資額約6億円に対して、年間約1億5千万円の電力料金削減効果があったそうです。

その他にも、温度と湿度を別々に制御して湿度を先に下げることで高い気温でも快適性を維持するデシカントシステム(ヒートポンプ比34%省エネ)や、緑のカーテン、学生や職員が実施する節電活動に対するポイントの付与、学内コンビニのLED照明に対する直流給電(18.1%省エネ)など、具体策を一つ一つ積み重ねることにより、年間1億7千万の削減を実現しているそうです。この削減分を原資に省エネ技術の導入したこととなり、実質タダで導入することができたというのも注目すべき点です。

坂内先生が最後におっしゃっていたのは「最適化」向けた無駄の排除をすること。やみくもにエコエネルギーに固執するのではなく、高効率機を優先して運転することで「省エネ」かつ「低コスト運用」を実現していることが三重大の最大の強みになっていると思います。今回学んだ視点はキャンパスにとどまらず、スマートシティの構築においても公共施設の低環境負荷運用においても有効的な考え方になると思います。また、桐生市でも活用可能な知識がふんだんに盛り込まれており、個人的にもたいへん収穫の多い講演となりました。お誘いいただいた島田先生に感謝申し上げます。

次回の研究会は2月開催。我らが桐生市の群馬大学理工学部より天谷先生と小木津先生にお越しいただき「低速電動バスMAYUについて」と「自動運転について」のお話しを伺う予定です。次回も参加できることを楽しみにしています