【市議会議員の期末手当引き上げとなります】

「5年連続の引き上げにより年間支給月数は3.9月から4.4月に増加」

桐生市議会第4回定例会(12月議会)も残すところ2日間。本日19日は議会に上程された議案の討論・採決が行われ、5年連続となる特別職(市長・副市長・教育長)及び市議会議員の期末手当の増額を含む議案も採決されました。採決の結果、特別職に関しましては賛成15・反対6、市議会議員に関しましては賛成14・反対7でともに議案は可決。私は議員の期末手当増額に関して反対の立場です。

景気変動を反映した人事院勧告に基づく議会議員の期末手当の増額の妥当性は見出せないとともに、現在の桐生市における景気状況を考えると議員の期末手当の増額は当然容認できないと考えております。しかしながら、議会は単純な感情論では議論ができません。一定の筋道を立てて提出されてくる議案に対して反対の立場をとるということは、反対に相応しい筋道を立てての議論が必要です。私が市議会議員となってから4度目の引き上げ議案であり、その都度同様の議論をさせていただきましたが、改めて反対根拠をここに示します。

以下、私の反対討論の概要です。

●議案第69号 議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部を改正する条例案について(反対討論)

【議案について】
本年8月に出された人事院勧告におきまして、国家公務員一般職のボーナスを0.05カ月分引き上げるという勧告が出されました。これは、民間企業の賃上げの動きを反映したものとなります。本議案は人事院勧告に基づき、議会議員の期末手当の支給月数を0.05月引き上げるものとなりますが、私は議会議員の期末手当を人事院勧告に沿って上げることへの妥当性に関して疑問を呈します。

【反対根拠】
地方自治法において、地方公共団体は議員報酬を「支給しなければならない」と定めており、議員報酬の額及び支給方法を条例で定めなければならないとされています。また、地方公共団体の議会の議員は常勤の職員ではなことから、報酬額の設定において生活給の側面を考慮する必要はないとされています。今回、引き上げ対象となる期末手当についてですが、地方自治法において、地方公共団体が条例で期末手当を「支給することができる」と定めており、期末手当の額及び支給方法は条例で定めなければならないとされています。期末手当に関する自治法における趣旨は、議員報酬と異なり、地方公共団体の議員にその支給について権利を保障したものではなく、期末手当を支給するか否か、その額や支給方法の決定を議会が制定する条例に委ねているものです。このことから、議員の職務や活動の内容、地方公共団体の規模や財政状況といった諸事情を総合的に勘案して、期末手当を支給するか否か、その額及び支給方法について、議会の裁量と判断に委ねていると理解できます。これらの理由により、景気変動を反映した人事院勧告と議会議員の期末手当を必ずしも連動させる必要はなく、当該議案を多数の市議会が否決している現状から見ても、法的拘束力がないことは明らかであることから、本議案の妥当性を見出すことはできないと判断し、本議案に反対させていただきます。

【特別職の期末手当について】
尚、特別職の職員に関しましては常勤の職員に当ることから、人事院勧告と連動することは妥当であると考えられる為、私は賛成の立場とさせていただきますが、他の自治体の事例を見る限り、桐生市と同様の条例の元におもいても、市長による諮問があれば、報酬等審議会(※1)による期末手当の審議が実施されており、今後、同様の議案が上程される際には報酬等審議会の答申を受けることが妥当と考えます。この点に関しまして、今後における運用の見直しを要望致しまします。

【期末手当を含んだ補正予算について】
最後に、本議案に関わる補正の内容が含まれます補正予算に関して申し上げます。歳出予算の執行は予算に拘束されますが、それは歳出予算として計上された額より多く支出することを許されない、つまり支出の限度という意味合いであり、減額に対する拘束力はありません。また、議案第69号の否決という結果に基づき、3月議会での一般会計補正予算において減額処理も可能と考えます。以上のような理由から、議案第79号 平成30年度桐生市一般会計補正予算(第4号)に関しましては賛成の立場とさせていただきます。

※1 桐生市特別職報酬等審議会:市長の諮問に応じ、議員報酬等の額について審議するための審議会。市長は、議会の議員の議員報酬及び政務活動費の額並びに市長、副市長及び教育長の給料の額に関する条例を議会に提出しようとするときは、あらかじめ当該報酬等の額について、審議会の意見を聴くこととされている。桐生市当局は「期末手当は報酬に当らないので審議会の諮問事項ではない」との見解であるが、他市の運用事例を見る限り、桐生市の見解は自治体としての解釈であり、法的根拠に基づいたものではないと理解できる。