INIAD(東洋大学情報連携学部) と赤羽地域TORN活用事例を見学

1月21日(火)に、INIAD(東洋大学情報連携学部/創設者 坂村健 氏)とNPO法人コミュニティー科学ネットワーク(島田昭仁 理事長)のご協力により開催された、INIAD及び東京都北区赤羽地区のTORN活用事例の見学会に参加させていただきました。

INIAD(情報連携学部)は2017年に東洋大学に新設された新しい学部で、プログラミングなどのコンピュータ・サイエンスの基礎と最先端技術への知見を習得することを目的としており、時代に対応したDXを牽引する人材を育成する学部となっています。また、今回、見学をさせていただいた校舎「INIAD HUB-1」は、ビル全体が教材となるIoT化された未来のキャンパスで、様々なものがプログラミングで制御され、学生の皆さんは最先端の空間の中で実践的に学び、技術を身に着けることができます。

見学に先立ち、INIADの創設者であり、前学部長の坂村健氏にINIADの概要及び北区と連携した取り組みなどについてお話をいただきました。都市の課題解決のためのプラットフォームを作ることの重要性や、ICT未来都市のためのPaaS(Platform as a Service)の構築(プラットフォーム一式をネット上のサービスとして提供していく)ことについてなどご解説をいただきました。また、EBPM(Evidence Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)による政策的な検証を行っていくことを強調されており、これは政治においても非常に重要になってきている価値観です。

公共交通オープンデータ協議会(ODPT)についての解説では、ODPTが公共交通のオープンデータの規格を取りまとめて一元化した情報をGoogleマップなどに向けて鉄道の位置情報などとして提供している事例が紹介されました。まずは桐生市が会員となりおりひめバスのバスロケーション等の連携に取り組んでいくことからがスタートしていくべきであると感じます。

続いて、2030年の少し先の未来の住まい方に関する研究会「Open Smart UR研究会」の取組みについてご解説いただきました。東洋大学とURが連携し、机上ではなくその時代で実現ができる最上級のものに挑戦していこう取り組みです。Open Smart Housingプラットフォーム(住宅OS)を構築して、住宅に様々なセンサーを設置。共通のインターフェイスにより既存のスマートビルやスマートホームに関連する様々な企業と連携して、さらには様々なサービス提供企業(宅配、コンビニ、クリーニング、警備など)との連携を行うことで、「魅力的なまちづくり」「多様な住まい方」「安心して暮らせる環境」の実現を目指していくとのこと。URとの団地での電脳住宅の実証実験は進んでいますが、これらの取組みは一人暮らしの高齢者への支援など、地方都市の課題を解決する上でも大きな可能性があるものであり、ぜひ地方都市である桐生市でも実証を行っていただけたらと願うところです。こちらは、座学後に見学もさせていただきました。

座学のあとは校舎である「INIAD HUB-1」を見学させていただきました。校舎内にはIoTデバイスが5,000個設置され、エアコンから照明、鍵、ロッカーまで全てがネットワーク上で繋がっており、プログラムにより操作することが可能です。プログラミングを習得しないと校舎の機能が使いこなせず、学生生活に支障が出てしまうとも言えます。逆に言うと、オリジナルのプログラムを組んでいけば校舎での生活はどんどん便利になっていくのです。そのような、言わば強制的にプログラムを習得せざるを得ない環境づくりが行われていることは、INIADが実践的な人材を育成していく原動力になっているのかも知れません。

今回の見学会には、先日に桐生市梅田町にて開催された「次世代OSトロンと山間部の森林資源を活かしたDX・GX講習会」にて講師を務めて下さった東京大学先端科学技術研究センター 特任研究員の谷口信雄先生にもご参加いただきました。INIADが取り組む最先端のデジタル分野の研究と、桐生市をフィールドとした実証実験がリンクする中で、地方都市の社会課題解決においても一つの解決策が見出されていくことを期待しています。

最後になりますが、貴重な機会をいただきましたINIAD及びNPO法人コミュニティー科学ネットワークの皆様に心より感謝申し上げます。