教育改革のファーストペンギン
22日に関東若手市議会議員の会 埼玉県ブロック研修in戸田に参加させていただきました。研修テーマは「戸田市の教育改革の取り組みについて」です。
戸田市は埼玉県南端、東京都との境目にある約14万人の都市です。昭和60年の埼京線の開通により3駅が設置され、急激に都市化が進みました。新宿までの所要時間は20分とアクセスが良く、東京のベッドタウンとして子育て世代が増加しており、埼玉県内でも最も若い街の一つです。
今回、ご説明いただいたのは戸田市教育委員会教育長の戸ヶ崎勤 様。教育再生実行会議 技術革新ワーキンググループ有識者会議委員や、経産省「未来の教室」とEdTech研究会委員など、中央省庁の諮問委員等を務める全国的にも知名度の高い教育長です。
今回の視察項目である戸田市の教育改革で印象的だったのは教育委員会の在り方です。教育委員会の進め方として委員の提案制度を設けており、議題を与えられ審議するだけの教育委員会ではなく、委員自ら議題を提案することを原則としているそうです。委員自ら提案することで議論が深まり、事務局も委員の提案を実現しようと前向きになる効果があるとの説明でした。どのような決定機関や諮問機関でも事務局案ありきがまかり通っているなかで、教育委員会の存在意義を最大化する取り組みだと感じます。
また、戸田市の教育において特筆すべき点は企業とのコラボの多さです。例えば、情報系の企業であればGoogleからMicrosoft、Softbankなど、系列に一切こだわりなく学校毎にコラボさせて、どの企業との連携が学力テストの結果にどのように影響したのか、いわば学校毎に成績を競わせるような形をとっています。クラスラボと名付けられているこの考え方は、各クラスが実験の場であり、2年間で約70社と連携しています。そして、ここで重要なのは戸田市としてはお金が発生していないこと。企業のCSRを利用して、戸田市の教育とのWINWINの関係を築いているのです。企業が競争することで、企業が企業を呼んでいる循環が生まれています。
学校を実験の場と捉えることには批判もあるかもしれません。しかしながら、言い換えれば戸田市の小中学生は最新の教育教材を負担なしで利用することができるのです。ファーストペンギンとしての先行者メリットとリスクを受けながら、教育改革を推進していく戸田市の教育行政の在り方は、それらを柔軟に認めている市長の采配も大きく影響しているのだろうと感じました。
2つ目の研修テーマは「戸田市児童センターこどもの国」。こちらは戸田市の施設を改修して平成27年にリニューアルオープンした施設で、児童センター部分は民間による指定管理、保育園部分は民間が借り上げて運営しています。公園やプール、図書室、体育館などの機能も合わせ持ったこの施設は、昨今の公共施設の複合化の流れのお手本のようなバランスの良い施設となっていました。
戸田市と桐生市の少子高齢化の状況は真逆といえます。しかしながら、現在求められている教育改革の課題は同じです。2020年にはプログラミング教育が必修化されます。これからの教育には新しい社会経済システムを創り出す力が求められており、未来社会は教育がリードすべき時代になる。戸ヶ崎教育長のお言葉にはたいへん重みを感じました。教育の質を高めることは地方創生とまちづくりの有効な手段となる。そう実感した研修となりました。
埼玉県ブロックの皆様、有意義な研修会を設営いただきありがとうございました。