アーバンスポーツと共存するまちづくり。新座市TYLERを視察

先週、埼玉県新座市にて開催された関東若手議員の会 埼玉エリア研修に参加。会場は2021年12月にオープンしたBMX フラットランド(FLATLAND)を楽しめるフィールドとカフェスペース、アパレルショップを併設した「TYLER(タイラー)」という屋内施設です。

BMXとは20インチの小径の自転車を使用したアーバンスポーツ。BMXのうち、BMXレースは2008年の北京オリンピックから正式種目に、フリースタイル・パークは東京2020オリンピックより正式種目となっています。

今回視察させていただいた「TYLER」の代表は、BMXフラットランドのライダーとして30年以上の競技歴を持ち、レジェンドと言われる存在でもある田中光太郎さん。これまで、国内外での大会で数々の優勝を獲得し、東京2020五輪組織委員会のメンバーとしても活躍されました。田中さんが取り組むフラットランドはまだオリンピック種目ではありませんが、日本での競技人口が多く、また世界大会の表彰台を独占するほど日本人のレベルが高い競技となっており、今後注目が高まっていく可能性があります。

田中さんは研修の中で、日本ではBMXフラットランド乗り場がない、練習する場所がないということに課題意識を持っているとお話してくださいました。田中さん自身も、かつて全日本選手権を7連覇してから海外へと活動場所を移されています。公共の施設の活用という面では、公園自体が自転車乗り入れ禁止であったり、他の来園者と接触のリスクがあること、また他の利用者に迷惑が掛からない状況であっても若者が集まって練習しているだけで通報されてしまうなど、そのイメージから活動場所が狭まってしまうというご指摘をされていました。

東京都板橋区ご出身の田中さんは、練習施設のための場所を求めて新座市の現在の建物に巡り合いました。新座市に来たのはたまたま良い物件があったからとのことですが、約1年が経過して近隣の方や小学生などが通い始め、今では会員数が300名に登るそうです。そのような取り組みが行政を動かし、新座市の公園においてBMXが解禁されるなどの連携が進みつつあります。子ども達向けにBMX教室を実施したり、自転車に安全に乗れる技術を学んでいくレッスンとBMXのパフォーマンスを合わせて実施したりと、既に地域に溶け込んで活動している田中さん。新座市とのご縁ができて「BMXで迷惑をかけたくない」から「BMXでこの街のために何ができるか」に転換できた、との言葉が印象的でした。

田中さんのお話しを伺った後はBMXを初体験。見た目は難しそうですが、乗ってみると小回りの利く自転車といった感じで楽しいもの。約1時間のレッスンで初歩的な技もいくつか習得することができました。BMAフラットランドは7m四方の平らな場所があれば実施できて、大きな音も出ません。海外の選手が日本の大会に出場するほど日本のレベルが高いのに、日本のトップ選手は乗れる環境を求めて海外へ練習に出たりしている現状があるそうです。

互いに理解を深めあうことで、BMXやスケートボードなどのアーバンスポーツと街の共存が図れることはもちろんのこと、それらの新しいスポーツを通じて街を活性化させていくことも十分に可能ではないでしょうか。桐生にも多数の競技者がいる中で、ひとめを忍んで行うスポーツではなく、市民に広く認知され共存・共栄できるスポーツへの転換に向けた前向きな議論が進んでいくよう、今回の学びをしっかり投げかけに結びつけていきたいと思います。