ケアラー(家族等介護者)に関する提言書を荒木市長に提出

9月15日、荒木市長に対して、桐生市議会 教育民生委員会で昨年12月から調査に取り組んできた”ヤングケアラー問題”、”8050問題”に代表されるケアラー問題に対する提言書を提出いたしました。なお、現在私は教育委員会の委員長を仰せつかっております。

ケアラー問題は桐生市にも必ず存在するものであり、救えるはずのケアラーに手を差し伸べることこそが自治体の役割であると考え、教育民生委員会の総意として行政視察や有識者の意見聴取も参考にしながら調査を行い、協議を重ねてきた提言書です。

本提言書が、桐生市におけるケアラー問題を解決するための一助となればと考えております。以下、提言書の内容をご紹介いたします。

「ケアラー(家族等介護者)に関する提言」

1. 実態調査について

ヤングケアラー(18歳以上の若者ケアラーも含む)や 8050 問題に代表されるケアラーは家庭内の存在であり、周囲からはなかなか発見することができない。特にヤングケアラーは本人や家族、周囲が自覚することなく、介護制度や福祉制度を適切に用いることができれば本来子供がする必要がない「お手伝い」を強いられ、勉強や遊びの時間が奪われてしまっている可能性が考えられる。ヤングケアラーかどうかを直接子供に問うことは難しいことも想定されることから、「どのようなお手伝い」を「どのくらいの時間」しているかなどの具体的な設問を用いたうえで、小学校・中学校・高等学校の児童・生徒に直接アンケート調査等を実施するなど、ケアラーの実態把握に向けて必要な施策を講じるものとする。

2. 専門窓口の設置について

現在、桐生市にはヤングケアラーや 8050 問題に代表されるケアラーの専門窓口は設置されていない。ケアラーと自覚されている方やその家族等が相談しやすい環境を作り、相談者に寄り添った適切な支援に繋げることにより、問題が深刻化することを未然に防ぐことが必要である。以上を踏まえ、ケアラー専門窓口の設置に向けて必要な施策を講じるものとする。

3. 周知啓発について

ヤングケアラー問題が注目されるようになってからまだ 2 年ほどであり、また8050 問題も定義されてから約 10 年と期間が浅く、未だに世間的な認知度が高いとは言えない状況である。特にヤングケアラーにおいては本人や周囲が自覚していない場合も想定されることから、ケアラー問題の解決に向けて市民に正しい知識を身に着けてもらうための周知啓発を図るものとする。

4. 連絡会議の開催について

ヤングケアラーや 8050 問題に代表されるケアラーの周知啓発及び支援体制の構築に向けては、関係部局の連携が不可欠であるとともに、学校などの教育機関や保育施設、民生委員・児童委員や地域包括支援センターなどの関係機関との情報連携も重要である。ケアラーの支援体制構築実現に向けての分野横断的な連絡体制を構築することを目的とした関係部局及び関係機関との連絡会議の設置に向けて、必要な施策を講じるものとする。

5. 支援体制構築について

ヤングケアラーにおいては、従来の介護制度や福祉制度を適切に用いることができれば本来やる必要がない「お手伝い」を強いられ、勉強や遊びの時間が奪われているケースも存在することから、実態を把握したうえで適切な支援に結び付けていくことが必要である。また、8050 問題においては引きこもり支援に対する精神的なケアや就労支援など、家庭の状況を把握したうえでの伴走型支援が求められる。それぞれのケースによって福祉・介護制度に当てはまらない世帯が存在することも想定されることから、先進自治体の取り組みを参考にし、桐生市においても訪問支援等の支援策の創設も含めたケアラーへの支援体制の構築が必要である。以上を踏まえ、ケアラーに対する支援についての具体策を検討し、必要な施策を講じるものとする。

桐生市議会HP ケアラー(家族等介護者)に関する提言書

https://www.city.kiryu.lg.jp/…/101…/1021093/1021094.html