改革し続ける議会の在り方。北海道 福島町議会

本日は桐生市議会 議会改革調査特別委員会の視察で北海道福島町議会に寄らせていただきました。福島町は函館市から車で約1時間半、本州からは青函トンネルを超えて北海道側の最初の自治体(駅は設置させていません)。視察内容は「議会と議員の評価について」となります。休日・夜間議会や議会報告会など市民に開かれた先進的な議会改革に取り組んできた福島町議会。今回の視察では平沼議会運営院長の進行のもと、溝部議長、平野副議長にもご対応をいただき活発な意見交換を行うことができました。

冒頭は溝部議長のご挨拶からスタート。平成21年に議会基本条例とまちづくり条例を同時に施行するなど、議長就任以来議会改革に取り組んできたこと、これまでの議会運営のなかでは議会の主体性に大切にしながら、町民との情報共有を心がけてきたことなどをご説明いただきました。

今回の視察に当たっては全ての参考資料を事前にご送付いただいており、事前に提出していた質問事項に対しても、予め回答をご送付いただくなど、予習の資料が充分な状態での訪問となりましたが、双方の挨拶の後、平沼議会運営委員長より「内容は十分ご覧になってきていただいていると思いますので、今日は時間がある限りお話をしましょう」という提案のあと、早速討議が始まり、指名などにより疑問点や聞きたいことなどを詳らかにしながら和やかに、そして活発に意見討議ができ、正にひざを突き合わせてお話をするような濃厚な時間を過ごし、現地に行った意味を強く感じる濃厚な2時間となったように思います。

福島町の評価すべき点は、改革を続けていることです。それは決して急速な改革ではなく、できることから一つ一つ確実にやっていこうという姿勢を感じます。それは人口4,000名弱、議員定数10名という町の規模からくる一体感や風通しの良さも影響しているのかも知れません。

具体的な取り組みについてですが、まず今回のテーマでもある議会評価と議員評価についてです。これらの取り組みのきっかけとしては、町民が議会に対してそれほど大きな関心を向けてくれていないという危機感があったとのことでした。議会評価では議会活動を主要10項目と具体的な36項目に区分し、全国の先進的な取り組みを行っている自自対議会と比較して、議会運営委員会の中で自己評価を行っています。先進事例と比較することで自分たちの自治体の進んでいるところ、遅れているところが明確になり、課題抽出の手法として非常に前向きかつストイックなやり方だと思います。また、議員評価については、各議員が自ら設定した政策課題を分野別に整理して、1年間の取り組み状況の評価とその結果を評価し公表しています。政策課題の設定は議員自らに任されていること、自己評価というところに大きなポイントがあります。議員個人に対する客観的な評価は批判にも繋がってしまう恐れもあることから現実的ではなく、自己評価とすることで、その課題設定の在り方や、自らの評価に対する姿勢が厳しか緩いかなど、議員評価全体を通じてその議員の想いや活動内容、更に人となりまでが伝わる仕組みではないかと目から鱗が落ちる思いでした。実際の導入へのハードルは高いかも知れませんが、4年に一回の選挙でしか評価されない議員の活動を1年に一回振り返るということそのものの価値も大きいと感じた次第です。

これまで桐生市議会では議会基本条例の検証・見直しの作業を進めてきました。今後は福島町の事例に学びながら、議会評価や議員評価の有効性や実施についても調査・研究を進めていく必要を強く感じます。

その他、休日・夜間議会の話題について、福島町では一般質問の1項目目のみ夜間に行い、続きは翌日以降に昼間に行うなど工夫をしているそうです。それぞれの施策をいかに実現していくかを意識した改革を、焦らずかつ着実に行い続けている福島町議会の姿勢、そしてその前向きさに非常に感銘を受けた視察となりました。

多くの時間を割いてご対応をいただきました福島町議会の皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。