7月17日は山上多重塔の建立の日。1221年目の記念式典に参加

7月17日は西暦801年(平安時代初期)に山上多重塔が建立された日。毎年この日に合わせて、新里文化財保護協会の主催による山上多重塔建立記念式典が開催されており、今年も荒木市長をはじめ、町会役員や関係者の出席のもと開催されました。

山上多重塔は桐生市新里町山上の西端に位置する古碑の一つであり、僧・道輪によって建てられた供養塔です。国の重要文化財にも指定されています。昭和18年に文化財保護法の前身である国宝保存法の下で旧国宝に指定されたという経緯からもわかるとおり、古くから広くその歴史的価値が認められてきた存在です。

山上多重塔は疫病の蔓延や飢きんが起こらないよう、地域の平安を願って建てられた仏教塔であり、コロナ禍に見舞われている現在だからこそ、改めてその価値を見つめ直していく必要があるのではないでしょうか。

ちなみに、山上多重塔は国内で18例しかない古碑の一つ。県内には4基の古碑が存在していますが、山上多重塔を除く高崎市内の3基(多胡碑、山上碑、金井沢碑)が平成29年に「上野三碑」としてユネスコの世界の記憶に登録されたことからも、古碑がいかに貴重な文化遺産であるかがわかります。そして、現在のコロナ禍にも通ずる山上多重塔の碑文に刻まれた想いに再び光を当てるべく、新里文化財保護協会の中に「山上多重塔を再度国宝にする部会」が発足するなど、地元から機運が高まってきています。国宝指定に向けて、桐生市を挙げて顕彰活動を盛り上げていけたらと思います。

桐生市民の皆様の中でも、山上多重塔を訪れたことのない方が多いのではないでしょうか。山上多重塔は美しい造形やその刻まれたメッセージはもちろんのこと、ここから見る赤城山の眺めは唯一無二のものです。訪れたことがない方には、ぜひこの場所に立って1221年前と変わらぬ景色を感じてみてください。