昆虫食は“ゲテモノ”ではなく日本の未来。かいこのいるラボ2

6月5日(日)、桐生市の街中のビルの一室で養蚕に取り組む養蚕ラボが、昨年に続き1日限定で一般公開されました。場所は本町6丁目の本町通りから路地を入った閑静な住宅街の中です。

「かいこのいるラボ2」と題した今回の一般公開では、現在養蚕ラボで飼育中のお蚕を始め、座繰り機などの養蚕道具などの公開や体験、機織り体験などができる工房 風花の出張展示&ワークショップなどが開催され、お子さん連れの家族を中心に賑わいを見せていました。

また、今回はアンカンミンカン富所哲平さんによる「SDGsお話会」と、コオロギから昆虫食の普及に取り組む櫻井蓮さん(高経大発ベンチャー FUTURENAUT株式会社 代表)と、近大で昆虫食のYouTuberとして活躍する清水和輝さん(株式会社NEXT NEW WORLD 取締役)による「シルク?コオロギ?群馬の昆虫食最前線」と題したトークセッションも開催されました。

櫻井さんが語ってくれたのはコオロギに代表される昆虫食。昆虫食はゲテモノ的な取り扱いがまだまだ多いですが、今回のお話を聞いてその社会的な意義を大きいと実感しました。牛肉だと可食部1kgを生産するのに25kgのえさが必要となりますが、コオロギだと可食部1kgを生産するのに2.1kgのえさで済み、ほとんど全てが食べられるので無駄のない環境にやさしいたんぱく源です。そして、雑食であるコオロギは廃棄される食品を養殖のえさとして活用できる可能性もあり、食品ロスを減らしながら新しいたんぱく質原料を生産できる可能性を秘めています。

ここからは私のざっくりした試算です。食料自給率37%の日本では、年間570万トンの食品ロスが出ています。この廃棄されてしまう570万トンを養殖のコオロギに与えると、2.1kgで1kg生産できるので271万トンのたんぱく質原料が生産できます。ちなみに、日本の肉類の自給率は53%で生産量は291万5千トン、肉類の消費量は560万5千トンなので、輸入量は269万トンほどでしょうか。つまり、廃棄される食品を使えば、現在輸入している肉類と同じだけの量のたんぱく質原料が手に入るということです。昆虫というネガティブなイメージを除けば、日本の食糧事情の未来を変えるかもしれない大きな可能性を秘めているのではないでしょうか。

そしてかずきさんが語ってくれたお蚕の可能性。お蚕はサナギも繭も全てが活用でき、アパレル・化粧品・シルク由来のタンパク質を活用した食品など活用方法も様々。お蚕のサナギに含まれるタンパク質には糖質分解酵素阻害作用があり、糖尿病予防効果も期待されているそうです。そんなスーパー素材であるお蚕。群馬の歴史と文化の詰まった、群馬県民にとって身近な存在でもあります。桐生の街かどにある小さなビルから始まった日本の養蚕復活に向けた未来への挑戦にご期待しましょう。