学校給食のお米を全て有機米にできたわけ

本日は桐生商工会議所をホスト会場として、千葉県いすみ市 農林課の鮫田晋さんによる講演会が開催。鮫田さんは千葉県からリモートで参加され、私はお隣の部屋で傍聴させていただきました。なお、今回の講演会の中では桐生市内の生産者さんとの意見交換等も同時に開催されました。

千葉県いすみ市は2017年に全国に先立ち「学校給食の全量有機米使用」を達成したことにより、オーガニックの先進地として全国的に知られています。

昨年度より桐生市でも、学校給食の一部で無農薬や減農薬などの地元産こだわり野菜の使用が試験的に開始されました。しかしながら、今回の鮫田さんの話にもあったように、有機農産物導入への課題として費用が増加することや、調達量、規格の不均一、出荷時期、献立への対応など、多くの課題があるのが現実です。

いすみ市では当初は農業振興の視点や地域環境の向上の視点で施策を推進し、その後は公共調達(学校給食)で購入して買い支えていくことで、作付面積や農家数が増加に繋がり、好循環が生まれていったそうです。

千葉県いすみ市は東京から特急で1時間ちょっと。首都圏との関係性や交通利便性は桐生市と大きな差はないと思います。いすみ市では学校給食の全量有機米化などを通じて市自体の知名度が上がり、住みたいまちランキングでも5年連続1位になるなど移住先としての魅力の向上や、ブランド力の強化にも繋がっているようです。16年前、桐生市は新里村・黒保根村と合併して農村地域を含む豊かな市域を手に入れました。桐生市のポテンシャルを最大化していくという視点においても、有機農法によるまちづくりには大きな可能性があるのではないかと感じました。

桐生市で育つ子ども達のためにより安全な食材を届けていくことや、食育のための「生きた教材」として活用することなどにおいても、有機農産物の学校給食への普及は重要な視点となりますが、学校給食は様々な分野が複雑に重なっているのも現実です。施策の推進のためには街全体にとって複数のメリットを提示していくことが必要になってくるのだろうと思います。

今年3月に国が策定した「みどりの食料システム戦略」では2050年までに耕作面積期待する有機農法を25%にするという目標が掲げられています。今後、持続可能な農業を考えていくためには、有機農法への対応がポイントとなっていきそうです。桐生市の農業が持続していくための一つの視点として、今後も見識を深めていきたいと思います。

最後になりますが鮫田さんをはじめ、今回の講演会に関わっていただいた全ての皆様に心より感謝申し上げます。