公共施設マネジメントの先進地へ

昨日より桐生市議会 公共施設のあり方等調査特別委員会の行政視察で東海地方の自治体2カ所に立ち寄らせていただきました。視察テーマは何れも「公共施設マネジメント」です。

一日目となる昨日は、静岡県焼津市へ。焼津市は静岡県のほぼ中央、駿河湾に面したカツオやサクラエビで知られる港町で、非常に温暖な気候の地域です。現在は新市庁舎の整備中であり、視察は仮設の庁舎会議室にて行われました。

焼津市では平成22年に公共施設マネジメントに関する自主研究会の立ち上げ、その後、庁内プロジェクトチーム設置、平成25年には政策企画課内に公共施設マネジメント担当を設置、平成26年には課を新設して資産経営課公共施設マネジメント担当を設けました。公共施設マネジメントとしては、全国の自治体の中でも早い段階で取り組みをスタートさせてきた経緯が伺えます。

焼津市の特徴的な取り組みと言えるのは公共施設の集約化・複合化の取り組みです。焼津市では和田公民館の機能を和田小学校の南校舎に配置して複合化を行いました。整備の検討にあたり公民館の利用状況を精査したところ、工作室と料理実習室の利用頻度が低かったことから、工作室と料理実習室に音楽室を加えた3つの機能を小学校と共用とし、3階部分に整備、2階は公民館の施設として改修、1階は公民館と放課後児童クラブの機能として改修されました。公民館、放課後児童クラブにおいては面積が増加し、小学校にとっては公民館と共用となる音楽室、工作室、調理実習室がリニューアルされたことから、それぞれの当事者にとってメリットがある形で複合化がなされたという印象です。

一方で、財源を考えた場合にはおいて複合化対する国からの補助金等が乏しいことや、学校施設の一部を公民館と共用とすることへの保護者や学校からの抵抗感など、実現に至るまでの苦労も様々あったとのことでした。

今回の視察の中では桐生市と焼津市の現状比較もお示しをいただきましたので、その概要も記述させていただきます。桐生市の人口約11万人に対して、焼津市の人口は約13万人とほぼ同規模であり、面積は桐生市274.45㎢、焼津市が70.31㎢と桐生市の面積が約4倍となっています。一方で、公共施設の保有量は桐生市が729,881㎡、焼津市が369,379㎡となっており、公共施設の床面積は自治体の面積に比例する傾向であることを考慮しても、桐生市の公共施設の総量は人口規模に対して非常に多いということがわかります。また、現在の公共施設の規模をそのまま維持しようとするとき、将来に必要となる更新費用は桐生市で86.6億円/年、焼津市は35.2億円/年と試算されており、これを直近4年間に投資した更新費用の実績値平均(桐生市 26.5億円/年、焼津市 29.2億円/年)との差として不足分を算出すると、桐生市で60.1億円/年、焼津市で6億円/年となるとのことです。この数値からも、現状の桐生市のペースで更新していったとしても全ての公共施設を健全な状態で維持していくことは困難であり、削減目標に沿った公共施設の着実な縮減が必要であると理解できます。ちなみに、縮減目標は桐生市で45%(35年間)、焼津市は18%と位置付けています。

焼津市のご担当者様が「財政調整基金(自治体の貯金にあたる基金)が尽きるなどの要因で、緊急財政対策に取り組む自治体の例もあり、危機感を持って取り組んでいく必要がある。」とおっしゃっていたことが印象に残りました。

どの地方都市にとっても、少子高齢化への対応は急務であり、人口規に応じた公共施設の適切な量についてしっかり認識し、公共施設等総合管理計画で掲げた削減目標に沿って着実に公共施設の総量を削減していくことが求められます。その際、しっかり市民に説明ができる評価指標を設けることや、市民の意見を反映できる機会を設けるなど、決定までのプロセスをしっかり構築して、その過程を明瞭にしながらかつ、スピーディーな判断を行っていく必要があると思います。

桐生市における公共施設の延べ床面積の削減目標は35年で45%となりますが、決してこれを机上の目標とせず、必達の目標と据えることは勿論のこと、更に期間の短縮や削減量の目標を高く持って推進していかなければなりません。そのためには、今年上旬には公表される見込みの個別施設計画をもとに市民を巻き込んだ積極的な議論を呼び起こしていきたいと思います。

焼津市で行ってきた公共施設マネジメントの進め方、そして施設の複合化の手法など、今後の桐生市にとってたいへん参考になる視察内容となりました。ご対応いただきました焼津市役所の皆様、焼津市議会の皆様に心より感謝申し上げます。