命に必要な電源を確保するには。訪問看護ステーションによる避難訓練
本日は群馬県訪問看護ステーション連絡協議会の桐生市・みどり市地区のステーションが実施をした避難訓練を見学させていただきました。地震による停電を想定し、みどり市内で在宅医療を必要としている方のご自宅にて実施されたものです。
訪問看護ステーションでは今年度から業務継続計画(BCP)策定が義務化されました。今回の訓練もBCPの策定を踏まえたもので、BCPに基づく訓練は県内で初めてとのことでした。
本日訪問させていただいたご家庭では、人工呼吸器と吸引器による医療的ケアが必要な方がおり、災害による停電時に電気を必要とする医療的ケアが継続できるかが課題となります。介護を担うご家族は「大規模災害だけでなく雷などによる停電も不安となっている」とのこと。今回は地震を想定して、復旧までに3~4日間の時間を要すると仮定した訓練を行いましたが、初期段階では無停電電源装置(UPS)で電源を確保して、携帯電話が繋がらない可能性にも考慮してデジタル無線にて機器メーカーの代理店に連絡、その後担当者がカセットボンベ式の発電機を搬入して人工呼吸器の電源を確保するという流れでした。
災害発生時、すぐには公助が行き届かず、支援体制が十分に整うまでは自力で生き残らなければなりません。その目安は3日間、72時間とも言われています。今回用いたUPSや発電機では、長くても1日持つかどうかの状況であり、その間に迅速に福祉避難所等が立ち上がり移送を行うなどの連携も重要です。何よりも、このような非常用電源が訪問看護ステーションや自宅にほとんど設置されていないという現状に大きな課題があると言えます。行政機関との連携や、在宅医療の実態把握、支援の在り方など様々な課題が山積する中、訪問看護ステーションのBCP策定義務化をきっかけに具体的な検討が進展していくことを期待するところです。
本日は貴重な機会をいただきありがとうございました。