住民の手で不二塚古墳を再整備。市内で例のない前方後円墳の可能性も

新里町山上元町にある不二塚古墳は山上古墳群を形成する古墳の一つであり、その直径は約30mと大規模で文化的な価値が高いものとなっています。しかしながら、指定文化財や史跡にはなっておらず、地域住民からもほとんど知られることがない存在でもあります。地元住民の認識としては、古墳の頭頂部に祭られていたとされる浅間神社に幣束を建てる習慣がわずかに残っていた程度のものでした。

そんな山上不二塚古墳を再整備しようという機運が高まったのは昨年夏ごろのこと。新里文化財保護協会に所属する元町の会員により「準備会」が発足し、常会や諏訪神社の氏子の皆様などとの協議を5~6回重ねた結果、常会と氏子のメンバー40名ほどで「有志の会」を発足して、3月31日と4月1日に竹の伐採作業、4月4日と5日に竹の粉砕作業をそれぞれ実施。4日間で延べ70名の皆様のご協力により見事に竹藪に埋もれていた古墳の雄姿が復活したのです。なお、私も皆様と共に2日間作業に参加をさせていただきました。

その後の状況を確認いただく中で、円墳だと思われていた不二塚古墳の形状が前方後円墳である可能性も浮上。もし正式に確認されれば桐生市内では例がなく、大きな価値のある発見に繋がるかも知れません。そんな夢のある発見に繋がったのも、地域をあげて一致団結して作業を完了することができた結果だと感じます。

今回の再整備は一区切りとなりましたが、ここからがスタートでもあります。今後の調査の進展に期待しつつ、定期的な草刈りなどを通じて古墳を綺麗な状態に保って行かなければなりません。令和の時代に再び注目を集めることになった不二塚古墳を、地域住民の力を集めながら地域の宝として大切に守っていきたいですね。

ちなみに、山上不二塚古墳の場所は山上城跡公園から東に100mほど進んだ市道の南側となります。通りから良く見えるようになっていますので、ぜひお近くにお越しの際には見学に立ち寄ってみてください。