コンパクトシティの先駆者。青森市で商店街の取組みを学ぶ

昨日今日の2日間、全国商店街振興組合連合会 青年部の通常総会・幹事会に伴う指導者研修会に群馬県の青年部長として参加させていただきました。コロナ禍が続いていたこともあり、東京都中野区で行って以来の3年ぶりのリアル開催です。

今回、私は研修会のみの参加(総会・幹事会は代表者で実施)。昨日はダブルブッキングで昼12時から桐生商工会議所 青年部の役員会があったのですが、急遽リモート開催となったため大宮駅前のレンタルブースを借りて役員会に参加し、終わり次第東北新幹線に飛び乗り青森に向かいました。

そして、実はトリプルブッキングで全国若手市議会議員の会 東北ブロック・危機管理研究部会 合同研修会も入っていたのですが、こちらは現地の石巻市には行けず、新幹線の中で元東松島市長 阿部秀保 様による『震災発災時の対応と復興に向けた東松島市の対応について』の研修のみ聞かせていただきました。「東松島方式 震災がれきのリサイクル」については、14品目の分別により全体の99%のリサイクルを達成しており、ウクライナの戦災復興においても活用できるのではないかと改めて注目が集まっています。

さて、遅刻となりましたが無事に青森市に到着し、会場へ。青森市長 小野寺晃彦 様による基調講演「多極型コンパクト・プラス・ネットワーク~挑戦を誇れ街づくり~」と、青森商工会議所 副会頭 西秀記 様と有限会社クレイドル 代表取締役 高樋忍 様を加えての3名によるトークセッション「魅力あるまちづくりを目指して」には間に合いませんでしたが、配布資料を拝見し、改めて青森市が全国に先駆けて歩んできたコンパクトシティのまちづくりへの挑戦やその経過と、それらの取組みが着実に成果として実を結びつつある現状を確認させていただきました。

青森市新町商店街振興組合 しんまち一店逸品運動実行委員長の伊香佳子 様による「本質を見失わない商店街活性化 ~しんまちの逸品 20年間継続する取組~」の部分からは現地にて拝聴させていただきました。「しんまちの逸品」の取組みは、商店街の参加店が毎年新たな逸品を作り発信をしていくというもので、それらを巡るお店回りツアーも実施しています。この仕組み、全国でも似た事例がありますが、新町商店街は成功事例としてよく紹介されているのはなぜなのだろうかと感じていました。実際お話を聞き、また研修後に1時間のミニ版「お店回りツアー」にも参加をさせていただき感じたのは、来街者に向けての発信もさることながら、各店主が逸品を開発する、それらをツアーのお客さんに紹介するという行為自体が、各商店主のモチベーションのアップに繋がっているのだと言うことです。そして、ツアーを通じて訪れたお客さんとお店との新しい繋がりができ、また来てもらうために新たな逸品を考えるというサイクルが存在することで、物を売るという本質を軸にしながら商店街の活性化に繋げていくことができているのだと感じました。

私が前回、青森市を訪れたのは10年ほど前でしょうか。その頃は東北新幹線が新青森駅まで全線開通したばかりで、北海道新幹線(新函館北斗駅までの区間)はまだ開業していませんでした。青森市のコンパクトシティの取組みの中でよく取り上げられてきたのがアウガという複合施設です。私が青森市に行った当時はまだ商業ビルとしてアウガが営業しており、ファッションビルの地下に鮮魚が並ぶ市場があるというギャップと、その賑わいに感動すら覚えた記憶があります。再開発事業として約185億円を投じて建設されたアウガは、地下に新鮮市場、1~4階に商業施設などが入居して人気の施設となり、全国でもコンパクトシティの成功事例として話題になりました。しかしながら、その豪華な施設故か運営会社が2016年に事実上の経営破綻に至り、一転して箱もの行政の悪い例として取り上げられるようになりました。2018年からは市役所の窓口機能が移転し、現在では地下の市場を除いて公共施設として利用されています。

その後、一度も青森市に訪れていなかったことから、コンパクトシティ政策に失敗した街というイメージが強かったのですが、中心商店街に市役所が移転したことや、新町商店街の奮闘などにより、現在では青森駅ビルの建替えを筆頭に再開発ラッシュを迎えています。街中を歩くと工事の囲いやクレーン、改装中の店舗などがいたるところに見られました。継続は力なり。着実に成果が上がっているのだと思います。

さて、研修会の話に戻りまして、2日目となった本日は特定非営利法人あおもり若者プロジェクトクリエイト 理事長の久保田圭祐 様より「学生団体と商店街の持続可能性について」のお話をいただきました。久保田理事長は高校時代にまちづくりに取り組む学生団体を立ち上げ、卒業後は県外で広告代理店に勤めながら、定期的に青森に戻り後輩たちの活動のサポートを行っています。商店街で学生団体が活躍するのはよくあるパターンですが、3~4年の単位で卒業していってしまう学生と持続的に活動していくことは難しく、各地の商店街において同様の悩みを持っているものと思います。クリエイトでは「まち塾」という形で商店主も巻き込んだ学びのプログラムを構築して、継続的に後輩たちが入ってきてくれる器づくりを行い、結果的に持続可能なサイクルづくりが成功しているという印象を受けました。

商店街も学生団体も、その他たくさんの市民団体も活動を始めるよりも継続していくことが一番の課題です。新町商店街とクリエイトという持続可能なまちづくり活動の好事例を学び、良い刺激を受けた青森市での研修となりました。次に訪れるときには、青森市がどんな街になっているのか、今から楽しみですね。

最後になりましたが、今回の研修を受け入れていただいた青森県商店街振興組合連合会の皆様、並びに関係者の皆様に心より感謝申し上げます。