継続可能な都市になるために
14日、15日の2日間、横浜市役所にて関東若手市議会議員の会の公式研修に参加させていただきました。1日目の今回のテーマは「オープンイノベーションの推進」及び「官民データの活用の推進とEBPM」となります。
横浜市は人口375万人を擁する日本一の基礎自治体であり、みなとみらいの都会的な港の景観をイメージする方も多いかもしれませんが、内陸部もひろく郊外部においては東京のベッドタウンという性格が色濃い街です。日本最大の基礎自治体とはいえ、超高齢・人口減少社会の急速な進展については横浜市も例外ではなく、2025年には65歳以上の高齢者人口が100万人となり、今年2019年をピークに緩やかに人口減少が始まるとの推計となっています。
1日目の研修では、効率的・効果的な行政運営の必要性や、データや先端技術を活用したビジネスチャンス創出の必要性、多様な主体との共働・共創によるビジネスチャンスの創出などの視点で現在の横浜市における各種施策を学ばせていただきました。
横浜市ではこれらを解決するための武器として、データ活用・オープンイノベーションの推進を図っています。行政が持つデータを民間に開放することで、民間が新たな価値を生み出していく。例えば、行政の子育て関係のオープンデータを活用し、保育施設・保育事業情報サイトを民間企業が運営することで、情報発信における行政サービスの向上が図られ、民間企業としても知名度の向上するなど、互いにメリットを受けつつも公費負担はゼロに抑えていく、そんなことも可能となるのです。決して企業との間だけでなく、今後は地元自治会やNPO、社会福祉法人との連携においてもオープンイノベーションの推進が重要になってくると考えられ、横浜市の各種取り組みから学ぶべきものは多くありそうです。
1日目の後半のテーマはEBPM(Evidence Based Policy Making)です。EBPMは「証拠(根拠)に基づく政策立案」と訳されます。政策を明確化させる、その目的ために本当に効果が上がる政策手段はなにか、課題を明確化した上で効果的に事業実施していく。民間企業では当たり前のことですが、これまでの行政にはあまり重視されてこなかった視点です。政策立案におけるデータの重要性は個人的にも重点テーマと捉えており、これらのデータを民間と共有していくことで、少ない投資でより多くの効果が得られるよう、桐生市においても強く推進を促していきたいと思います。
2日目のテーマは「SDGs未来都市・横浜の実現」です。SDGsとは「持続可能な開発目標」の略称であり、国連で採択された、2016年から2030年までの国際目標です。桐生市議会においても今年3月に「持続可能な開発目標(SDGs)を桐生市のまちづくりに生かす条例」を制定するなど、SDGsの推進に取り組んでいます。横浜市は2018年にSDGs未来都市・横浜に選定されており、全国でも先進的な自治体として知られる自治体です。
横浜市におけるSDGs推進において特徴的なのは「ヨコハマSDGsデザインセンター」の存在。国からの交付金を受けて、民間事業者に委託する形で運営されており、団地内の集会所を利用したショーとタイムテレワーク実証実験や、横浜産の木製ストロー「SDGsストロー・ヨコハマ」の取り組みなど、民間企業や市民の皆様と柔軟に連携しながら、実現可能な活用アイデアを一つ一つ着実に形にしつつあります。
桐生市においては、まずはSDGsの認知度を上げていくことが第一歩となりますが、実践に落とし込んでいく過程においては横浜市の「ヨコハマSDGsデザインセンター」の存在はとても参考になりそうです。
超高齢化・人口減少社会の進展や、地球温暖化による自然災害の増加など、都市の継続性において避けては通れない課題です。それらの課題を突破していく為のツールが「オープンイノベーション」であり「EBPM」であり「SDGs」なのだろうと思います。これらは決してシンボル的な標語ではなく、課題の解決に対して適切に当てはめていき、効果を生み出し、しっかり検証していかなければならない。そのサイクルを推進していくエネルギーは官民連携・パートナーシップです。都市の規模は全く違いますが、桐生が進むべき道を示していただいたように感じた2日間の研修となりました。
ご対応いただきました横浜市の皆様、横浜市の皆様に心より感謝申し上げます。