多文化共生の先進地へ

昨日は、関東若手市議会議員の会 関東公式研修in埼玉に参加させていただきました。川口駅前のキュポ・ラにある「かわぐち市民パートナーステーション」にて役員会を実施の後、研修一つ目として「川口市の多文化共生の取り組み」についてお伺いしました。川口市といえば西川口駅周辺の中国人街や、隣接する蕨市も含めてクルド人コミュニティが形成されていることが時折メディアで取り上げられていますが、現在の外国人居住者は約3万5千人にのぼり、総数では全国3位、東京都内を除くと全国1位の人数となっているそうです。学校によってはクラスの児童・生徒の半数近くが外国人という地域もあるとのことでした。

そんな、多文化共生の先進地ともいえる川口市で取り組んでいるのは、外国人向けのイベントや講習会です。日本語のスピーチコンテストや進学相談会、税と年金の講習会など、外国人住民が地域に馴染むための仕掛け作りや、生活していく上での基本的な知識を得られるような仕掛け作りを積極的に行っています。また、市内のボランティア団体が実施する日本語教室も19教室開設されており、このような活動を通じて地域住民と外国人が繋がるきかっけづくりに結び付いています。

これからの課題として提議されていたのは、いかにして外国人を「支援される側」から「支援する側」に変えていくのか。市内の芝園団地では高齢化が進み、約5,000人の入居者のうち、半数以上が外国人となっている現状があります。日本人は高齢者、外国人は子育て世代という状況となっているのです。外国人労働者が増加している昨今の状況を鑑みると、遅かれ早かれ他の地方都市においても同じような状況になってくることが予想されます。そこで重要になって来るのは外国人を支援の対象と捉えるのではなく、地域を支えてくれる担い手になってもらうという視点です。町内会や自治会においても積極的に参加してもらい、役員や防災リーダーになってもらう。そして、日本人も外国人も同じ住民として対等な立場でまちづくりを行っていく。これが真に目指すべき多文化共生の姿なのだと改めて感じました。

続いて2つ目の研修として訪れたのは川口市立芝西中学校陽春分校です。こちらでは「夜間中学校について」研修及び見学をさせていただきました。平成28年に「教育機会確保法」が成立し、地方公共団体に夜間中学校の設置が義務付けられましたが、具体的には各都道府県に少なくとも1校は夜間中学校を整備するものとされています。ちなみに、残念ながら群馬県内にはまだ夜間中学校の整備はされていません。この陽春分校は法律に基づく全国初の夜間中学校として今年4月に開校しました。夜間中学校というと時代的な背景で小中学校を卒業していない人や、不登校等により形式的に卒業はしているが学習時間が不足している人などが通うイメージがありますが、研修1でもあったように外国籍の方の学びの場としても機能しているのが特徴的に感じます。現在在籍している生徒は日本人30名、外国籍48名、年齢も10代から80代までと様々です。国籍も年齢も違う人たちが、それぞれの想いで通っている夜間中学校。授業の風景を見させていただきましたが、その様子は和気あいあいとしており、まさに多文化共生のあるべき姿が実現された空間だと感じました。学び直したい、高校受験をしたい、日本語を勉強したい、目的は様々ですが、地域に夜間中学校があることで多様な需要に答えられる学びの場が設けられるということはたいへん素晴らしいことであり、群馬でもぜひ実現してほしいと感じました。ちなみに、陽春分校は入学要件を埼玉県内在住者に限っており、他市の生徒の分の経費は生徒数に応じて該当自治体に負担してもらっているそうです。県から教員等の支援はあるものの、どの自治体が整備を行っていくのか、その選定をどのように行っていくのかが課題になってくると感じます。

今回は時代に即したテーマで有意義な研修内容をご用意いただき、たいへん勉強になりました。設営いただいた埼玉ブロックの皆様、たいへんありがとうございました。私の事務局長としての役目も8月いっぱいまでとなり、残すところ1カ月半となりました。残る大きな仕事は8月の関東総会となります。ここまで支えて下さった関東役員の皆様に感謝するとともに、残りの任期を精一杯務めて参りたいと思います。

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