上野第4の碑としての発信を
昨日は新里総合センターで「上野三碑講演会」が開催されました。一昨年にユネスコの「世界の記憶(世界記憶遺産)」に登録された高崎市の山上碑・多胡碑・金井沢碑の古代石碑を総称して「上野三碑」と呼びますが、全国18例ある古碑のうち4碑が群馬県内にあり、そのうち3碑が世界の記憶に登録されました。残りの一つは桐生市新里町の山上多重塔となります。
上野三碑が渡来文化に影響を受けた記録物という位置付けにある一方で、山上多重塔は複雑な造形や法華経を安置していたと考えられることなどから仏教の広がりに大きく影響を受けていると考えられています。成り立ちは違いますが、4つの碑は群馬県に集中しており1200年以上前に建立された日本最古級の石碑群と言えます。
山上多重塔の特徴として、塔を模しており、3段の4面体で計12面に文字が刻まれていること、またその文字が横文字であることなど古碑の中でも唯一無二の特徴を持っています。講師の桐生市立図書館 小野里 主査によると、塔を一周することで納められた法華経を感じることができる仕掛けだったのではないかと予想しているそうです。そうなると、この山上多重塔の建っている場所にも仏教的な意味合いがあるのかも知れません。ここは赤城山が一番綺麗に見える場所の一つ。この清浄な空間に建っているからこそ存在価値を最大化できる石碑なのかも知れませんね。
今回の来場者は92名となり、注目の高さが伺えます。上野三碑に隠れていますが、山上多重塔も普遍的な価値をもつ古碑であり、上野第4の古碑として桐生から積極的に発信していきたいと改めて感じました。
上野三碑と関連して新里で講演会を開催していただきました上野三碑世界記憶遺産登録推進協議会の皆様、及び群馬県庁の皆様に心より感謝申し上げます。