車に頼らない暮らしへ。地域から交通まを考える。群馬の交通まちづくりシンポジウム
29日(土)は、前橋工科大学で開催された「地域から発案する群馬の交通まちづくりシンポジウム」に参加させていただきました。

このシンポジウムは、車だけに頼らない暮らしや、地域から交通とまちづくりを考えることをテーマに、群馬県内で公共交通に関わる7つの市民団体などが共同で開催したものです。私の出身ゼミでもある前橋工科大学 地域・交通計画研究室も参加しています。
基調講演では、私の恩師でもある前橋工科大学 湯沢昭 名誉教授から「群馬の交通まちづくりへ!」と題してお話をいただきました。
群馬県では、市街化区域内の人口密度が低下する一方で郊外への市街地の拡散が続き、公共交通を利用しにくい地域が広がっています。さらに中山間地域では、人口減少や高齢化に加えて医療・商業施設の衰退も進み、「移動手段をどう確保するか」は暮らしそのものに関わる課題となっています。


講演の中では路線バスを取り巻く厳しい現状が共有されました。前橋市の広瀬線では、平成18年に平日74便あったものが現在は10便まで減少。こちらはバス会社の自主路線となります。一方で、前橋市と玉村町の共同委託路線である前橋玉村線では同期間で36便から67便へ増便したものの、増便することによる委託経費は行政負担となっていることが課題として示されました。
こうした中、従来の路線バスだけではなく、デマンド交通や相乗りタクシー、ボランティア輸送など、それぞれの地域に合った移動手段を組み合わせていく必要性についてもお話がありました。

前橋市で注目すべき点は、城南地区での住民主体の取り組みです。15自治会、人口約1万7千人の地域で住民アンケートなどを行い、行政が自治会を支援し、自治会が交通事業者に運行を委託する仕組みを構築して、住民主体で乗合タクシーが運行されています。令和7年度には年間2,906回利用されたとのことでした。交通税導入などの検討も含めて、住民が均等に対価を支払い、公共交通を維持して恩恵を受けていくという考え方は、今後の公共交通の在り方に一石を投じるものだと思います。
最後のまとめとして、湯沢先生からは今後の「群馬の交通まちづくり」として、公共交通が利用しやすい地域への居住誘導、通勤・通学に使えるバスのサービス水準の確保、自治体をまたぐ広域路線への県の支援、安定した財源確保、運転手不足への対応などが提案されました。公共交通を単に「赤字だから維持する・廃止する」という視点だけで考えるのではなく、まちづくり、福祉、教育、地域コミュニティ、そして自動車を運転できなくなっても安心して暮らせるセーフティネットとして、その費用対効果や多面的な価値を捉えていくという考え方が大変重要だと感じた次第です。
人口減少と高齢化が進む中、「車を運転できること」を前提とした地域づくりをいつまでも続けることはできません。公共交通を「移動」の問題だけで捉えるのではなく、これからどこに人が住み、どのようなまちをつくっていくのかという都市政策と一体で考えていくこと。そして行政や交通事業者だけに任せるのではなく、地域住民も一緒になって地域に合った移動の仕組みをつくっていくことが大切です。
学生時代に学んだ「交通」と「まちづくり」の原点を改めて振り返りながら、桐生市のこれからの公共交通についても考える貴重な機会となりました。


