子どもが同乗する際の自転車事故を防ぐために。国民生活センターにて研修会

8月23日に神奈川県相模原市の国民生活センターにて、子どもの事故予防地方議員連盟の研修会に参加させていただきました。今回の研修会は私が室長を務めている地域対策室の研修会として実施したもので、テーマは「子どもが自転車に同乗する際のリスクの把握と事故予防について」です。ちなみに、同議連は子どもの事故の予防に取り組む超党派議連で、全国の地方議員100名以上が所属し、調査・研究や情報交換などを通じて日々研鑽を積んでいます。

これまで地域対策室ではヘルメットメーカーであるOGKカブト様にお話をお伺いするなど、子どもの自転車事故についての調査を行って参りました。今回は国民生活センター 商品テスト部の皆様のご協力により、商品安全の観点からの事故予防について学ぶ機会をいただき心より感謝申し上げます。

さて、消費国民生活センターは全国の消費生活センター等からの商品や技術に関する問い合わせ・相談などに対応して、商品に関する注意喚起のためのテストなどを実施し、商品改善、規格・基準等に関する改正要望等を行っている独立行政法人です。テレビのニュースなどでそれらの情報を見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか。

本題の子どもに関連する自転車の事故についてですが、はじめに「子どもを抱っこして自転車に乗ることの危険性」についてのお話をいただきました。2017年以降の約6年間で子どもを抱っこしての事故事例が32件あったとのこと。抱っこによる運転は操作性や視認性の低下の危険性があり、子どもとの同乗は各都道府県の公安委員会規則において幼児用座席とおんぶのみ認められています。幼児用座席は1歳から小学校就学前まで、おんぶは4カ月~小学校就学前までが基本です。ちなみに、抱っこして自転車に同乗させていた子どもが怪我をした事故のうち72%は1歳未満で、最も頻度が高かったのは幼稚園・保育園への送迎となっています。

続いて「自転車用ヘルメットの問題」です。2023年から同乗する子どもを含めた全ての自転車利用者にヘルメットの着用が努力義務となりました。ただ、残念ながら全国的な着用率はまだ10%ほどと低迷しています。着用するヘルメットについて公的な基準はありませんが、業界での任意の基準(マーク)は存在しており、安全性を確認して購入することが大切になります。そして、最も問題なのは、1歳未満用のヘルメットが存在しないこと。前記の通り自転車でのおんぶは4カ月~小学校就学前まで認められているにも関わらず、努力義務となっているヘルメットには1歳未満用がありません。この件に関してはメーカーさんにも問い合わせましたが、法的な基準がないことから開発そのものができないとのことでした。結論から言うと、現状では1歳未満の子どもを自転車に同乗させて幼稚園・保育園への送迎をすることは不可能であり、そういった状況が生じないような登園環境の整備が各自治体に求められます。とはいえ、現実的には自転車を利用せざるを得ない世帯が一定程度存在するのも事実であり、例えば自転車乗車時用に頭を保護する機能を持ったおんぶひもの安全基準を国が策定し、メーカーと協力して商品開発に繋げるなどの具体的なアクションが必要だと感じました。

その他、自転車後部同乗中の子どもの事故について、はみ出し(電柱やガードレール等との接触)、転倒、スポークに足が入ってしまうことによる外傷などの危険性についても共有いただいただき、研修会終了後には国民生活センターの見学もさせていただきました。

国民生活センター様の日々のたゆまぬご努力により、安心安全な製品を使用することができているということ改めて実感とともに、今後も国民生活センターの皆様と連携しながら、子どもの事故に関連する諸課題の解決に取り組んでいけたらと思います。この度は貴重な機会をいただきありがとうございました。