公共交通に関する提言書を提出

6月10日(水)、私が委員長を務めさせていただいている桐生市議会 総務委員会において、これまで4カ月間にわたり実施してきた所管事務調査を終結し、荒木市長に「公共施設関する提言書」を提出させていただきました。

この所管事務調査は、来年4月に予定されている市内県立高校の統廃合に併せたおりひめバスの見直しを見据えるなかで、桐生市内の公共交通が継続的に維持され、市民生活を支える重要な社会インフラとして発展していくことを目指し、有識者からの知見や現地視察なども踏まえながら調査活動を行ってきたものとなります。

今回の提言書が、桐生市における公共交通の利便性向上に繋がっていくことを心から願っております。

なお、提言書は全6項目で構成されており、各項目の内容は以下の通りです。

「公共交通に関する提言書」

桐生市議会 総務委員会

1.公共交通の連携強化について
桐生市は4つの鉄道路線に恵まれ15の駅が利用可能である一方で、各路線は鉄道会社が違うことなどにより、乗り継ぎの利便性が高いとは言えず、他の路線に乗り換え可能な駅も限られている状況である。また、おりひめバスとの乗り継ぎにおいても同様の課題があると言える。そこで、各鉄道路線間並びにおりひめバスとの乗り継ぎに配慮した時刻表の設定や、案内の充実及び乗り換え地点の新設などにより、市民にとってより利用しやすい公共交通体系を構築することが重要である。以上のことを実現するため市として必要な施策を実施すること。

2.公共交通の需要喚起について
公共交通の利用者を増加させるため、上毛電気鉄道やわたらせ渓谷鐵道、おりひめバス、タクシーへの交通系ICカード等のキャッシュレス決済の導入や、ITを用いてあらゆる公共交通機関をシームレスに結びつける桐生版 MaaS(マース:Mobility as a Service)の導入など、具体的な利便性向上策に取り組み、公共交通の需要喚起に向けた各施策に積極的に取り組むこと。

3.おりひめバスについて
令和3年4月の市内県立高校の統廃合に併せたおりひめバスの見直しについて、鉄道や他のおりひめバスの路線などとの乗り換えを前提とした路線設計を導入する中で、利用者にとって利便性の高い時刻表の設定や、わかりやすいルート設計、親切な案内のあり方など、利用者の視点を充分に配慮した見直し作業を 実施すること。また、駅前のバス停やおりひめバスが2路線以上乗り入れるバス停など、結節点となるバス停へのベンチや屋根の設置、及びバス停付近のコンビニエンスストアにバスの待合機能を持たせるなど「快適なバス停」への転換を進めるとともに、横断歩道が近接しているなどの「危険なバス停」についても実態の把握を行い、危険が認められるバス停には早期に安全対策を実施すること。

4.地域内交通について
基幹交通である4つの鉄道路線や、二次交通であるおりひめバスを補完する位置づけとして、地域内交通の充実を図る必要がある。具体的には、新里町デマ ンドタクシー及び黒保根町デマンドタクシー、予約制おりひめなどの既存の地域内交通について、増便や発着点の拡大に努めるなどの充実策に取り組むこと。また、ワンマイルタクシーの導入や、地域住民主体の地域内交通を導入する自治会等への支援事業創設など、地域住民との連絡調整を図りながら各地域に適した地域内交通のあり方を検討し、市内全域において取りこぼしのない公共交通網の構築に向けた取り組みの推進を図ること。

5.低速電動バス eCOM-8(通称:MAYU)について
群馬大学を中心とした JST プロジェクトにより構想され、平成23年に初号機が完成した低速電動バスeCOM-8は、全国に先駆けて「スローモビリティ」の概 念を作り上げた先進的な車両であり、平成30年に国土交通省が定義した「グリーンスローモビリティ」の中心的な車両として注目を集めている。桐生市内では観光客向けの移動手段として運行されている他、少子高齢化の進展している地域等での移動手段として、地域内交通の社会実験にも利用されている。桐生市で生産されているeCOM-8は、全国の自治体においても導入が進んでいるが、引き続き桐生市は「スローモビリティの先進地」と位置付けられる状況である。このような、全国的な注目の高まりや、eCOM-8を活用した社会実験で得られた地域 内交通機関としての成果・効果をしっかり検証し、市内においてeCOM-8を公共交通機関と位置付けた利用方法の拡大を図ること。また、「スローモビリティの先進地」として模範的な活用方法を提案していくための各施策について、積極的に取り組むこと。

6.新型コロナウイルス感染症への対応について
市内で鉄道、バス、タクシーなどの公共交通の運行を担う事業者に対して、新型コロナウイルス感染症が経営状況に及ぼす影響などを調査し、事業継続に向けて必要な支援を行うこと。また、市民に安心して公共交通を利用してもらうため、運行を担う各事業者が感染症対策を適切に行っているかの確認を行うとともに、必要に応じて感染症拡大防止策についての助言及び支援を行うこと。