市庁舎整備に対する基本方針が示されました

桐生市庁舎整備基本方針

1月22日に行われた桐生市議会全員協議会において、市当局から「桐生市庁舎整備基本方針(案) 」が示されました。

桐生市役所本庁舎は1965年に本館・議事堂が、1982年に新館が完成しており、建築から長い年月が経っています。現状においては、いずれの建物も耐震基準を満たしておらず、 震度6強以上の大規模地震で 「倒壊又は崩壊の危険性が高い」 と診断されています。熊本地震の際に多数の自治体の庁舎が被災し、行政機能が滞ったことは記憶に新しいところです。災害時の行政機能の維持のためには、市庁舎の再整備は避けては通れない道と言えます。一方で少子高齢化・人口減少社会において、市庁舎などの公共施設に過剰な投資をするのは時代錯誤であり、慎重な議論が必要です。

今回示されたのは「計画」に先立つ「方針(案)」となります。ここをスタート地点として市民の皆様や市議会、有識者、民間などの知恵を結集し、広く意見を集約していくなかで、現実的で長期的に維持可能な堅実なプランが出来上がっていくことを期待しております。

今回示された概要は以下の通りです。

・修繕と建て替えの2つの整備方法を検討した結果、建て替えが望ましいという結論に至った。
・建設場所については交通利便性や駐車場の確保の観点から現在地が望ましい。
・新庁舎の延べ床面積は現庁舎に比べて32%縮減を目指す。
・事業手法は、合併特例債が活用しやすい市直営方式とする。
・財源は合併特例債を活用する他、市庁舎整備基金10億円も活用する。
・床面積から積算した試算では、本体工事費に約58億円、設計委託費や解体工事費、外構工事などで別途10~20億円を見込んでいる。
・合併特例債を活用する都合から、2025年度までの完成を目指す。

概要は以上です。

私は全員協議会の中で、以下の2点を確認させていただきました。

① 市庁舎再整備の検討において、当初は現地建て替え、現庁舎修繕の他に、分庁舎方式や民間施設の活用などの案もあったと思うが、どのような過程の中で「現地建て替え」と「現庁舎修繕」の二者択一となったのか。

② 新館は建築基準法改正後の建築であり、新館の耐震化と本館・議事堂の建て替えを合わせた折衷案は考えられるのか。

回答は以下のような内容でした。

① A.庁内での検討の結果、現在地での整備が望ましいとの結論に至った。分庁舎方式という面では床面積が32%縮減となるので、市民の影響の少ない部署を中心に分庁舎方式を採用し、建設費の縮減に努めていく。

② A.新館の活用も検討したが、新館の耐震改修だけでも20億円近くかかること、また耐震改修をしても10~15年経つと新たな修繕の必要が出てくることが予測されることなどから現実的ではないと判断した。

ここからは、これらを踏まえた私の意見です。床面積を32%縮小して分庁舎方式を採用することは、既存施設の有効活用にも繋がり評価できると考えます。また、58億という本体工事費についてですが、合併特例債が5年延長されたことにより期間内に整備が完了すれば合併特例債が活用可能となります。合併特例債は他の地方債と比較して交付税への算入率が70%と高いことから、58億円と仮定すると桐生市の実質負担は約21億円となります。また、今年度時点の 市庁舎整備基金10億円の積み立て額から見ても、今後の桐生市の財政力でなんとか賄えるプランになっていると言えそうです。しかしながら、決して安い金額ではないのは事実であり、民間との連携などにより更なる費用の圧縮方法の研究が必要だと感じています。

注意しなければならないのは、これはあくまでも「方針(案)」だということです。この先の議論の中で、より予算を抑えたプランになる可能性もあれば、様々な理由を付けて予算が肥大化していく危険性もあります。 また、桐高と桐女統合後の新高校に一時貸与が決まっている旧昭和小学校や、移転の決まっている学校給食中央共同調理場の土地利用も踏まえたエリア全体の議論も必要です。更に付け加えますと、分庁舎方式の検討においては、まちづくりという視点を持って戦略的な部署の配置を目指していかなければなりません。

いずれにしましても、市庁舎整備は今後の桐生市を左右する大きな計画となりますので、市民の皆様を交えて丁寧かつ活発な議論を重ねていく必要があります。現在、市ではパブリックコメントを募集しておりますので、多くの皆様にご覧いただき、ご意見をお寄せいただければと思います。

桐生市庁舎整備基本方針(案)パブリックコメントhttp://www.city.kiryu.lg.jp/shisei/sanka/publiccomment/1014537.html