桐生市とみどり市について

富所:第一弾がお笑い芸人で大丈夫ですか?市議ぶっ飛んでるなってなりません?群馬住みます芸人っていうのは地域への想いもあるの で、多少気にしている部分はありますけど。言っても芸人ですからね、人に見下されて生きている側の人間ですからね。

久保田:今回お招きしたのはもちろん富所さんの人柄を知ってのこともありますし、特に「桐生市とみどり市」っていうのは結構大きいテーマだと思っているんです。この対談をするにあたって、やっぱり桐生市の人はみどり市を意識するし、みどり市の人も多分桐生市をある程度気にしていると思うんですよね。お互いに飛び地のような町の形をしていて。桐生市にいたっては地図で見ても飛び地ですよね。

富所:僕らみどり市民からしたら、桐生に温かく抱かれてるっていう風には思っていますけどね。
久保田:なんとなく、桐生みどりで紹介されている地図を見るとサンドイッチとかハンバーガーみたいじゃないですか?バンズとパティみたいな感じでね。

富所:まあそういう意味では僕らの方が中身ですから。
久保田:でも本当にそうなんですよ。桐生市が分かれている上では、真ん中のみどり市がいい立ち位置でいてくれないと桐生市の発展はやっぱりないですよ。みどり市が誕生して約11年ですが、市民としてはどういう感覚なんですか?

富所:正直、僕がみどり市民を代表するのもアレですけど、そんなに考えてないですね。みどり市としては大間々・笠懸・勢多東、この3つが一緒になってみどり市になった。そこをまだ受け入れられていない人の方が多いからですから。

久保田:合併に関してあまり関心がないようですけど、逆に桐生市ではすごく話題になっていて、桐生市の人の多くはみどり市との合併を望んでいます。やっぱり飛び地の解消がまず1つ。もう1つ言いますと、桐生市と六か町村という枠組み(現在 でいうと、みどり市と桐生市に藪塚(現太田市)合わせた地域)が広域行政でやってきたわけです。桐生市民としてはやっぱり笠懸も大間々も東も、さらに藪塚も桐生広域圏という意識で、みんな同じ地域の人だと思っています。

富所:合併すると何かメリットってあるんですか?飛び地の解消にも色々あるわけですよね?その辺、正直市民は全然わかってないですね。 言っても僕、広報を隅から隅まで見てる側の良い方の市民ですからね。市議会便りまで目を通してますから。
久保田:桐生市側の見解になってしまうかもしれないですけど、飛び地の解消以外に、自分はどちらかと言うとみどり市にメリットがあると思っています。みどり市は短期的に考えると市民生活上は合併しない方が、負担が少ないものも沢山あります。やはり桐生市は高齢化比率がみどり市より進んでいるので、当然支えていかなくてはならない世代の人が多ければ負担する部分が増える形となります。

富所:みんなで支えなきゃいけないですからね。

久保田:その支え合いで言えば、清掃センターでゴミを燃やしたり、し尿処理場で汚水を処理したり、斎場でお葬式をする。あと、消防署も。全部、今は桐生市とみどり市の間で委託と受託の関係でやっているんです。

富所:それは全部みどり市側の委託ですか?あ、すみませんお世話になります。

久保田:今までは7市町村で一部事業組合を作って一緒にやって来たのが、お互いが市になって基本的にはそれぞれ独立しているわけです。 つまり、お互いがそれぞれ持っているのが前提なんですよ。イメージしてもらうとわかると思うのですが、何か事業を起こす時に全部物を買うよりも、パソコンでも車でもなんでもレンタルでやった方がリスクは少ないしコストも安く済みますよね。例えば清掃センターの事とかでも、燃やしている量とか利用している量、人口割とか総量割でお金を払えばいいから。だけど、例えば炉が傷むリスクとかを負わないわけですから桐生市の財産が、燃やす事によって消耗されているというのが現状です。今後、長い目で見た時にみどり市も自分達で持つのか、それともどこかと共同でやるのか、それとも合併をするのか。判断を迫られる時が来ると思うのです。

富所:もう、さっきの話もありますけど合併しちゃえばって思いますよ。

久保田:桐生市の想いはそこなんです。長期的に見た場合、合併しなければ恐らくみどり市の負担は増えると思います。ただ、今この瞬間生活している人のコストは合併しない方が安くなる場合もあります。

これからの議会について

富所:何かこれからやって行きたい事とかあるんですか?残り1年半。それこそ2期目も含めてですけど。

久保田:自分はやはりしっかり成果物を作って行きたいです。例えば、これが実現したというのは目に見えない部分もあるじゃないですか。なので、自分としてはやはり自分の想いのこもった市の中で一番上位の「条例」づくり。自分の想いを落とし込んだ条例案を形にして他の議員にも応援してもらい、一つの条例を作り上げる。自分が議員じゃなくなったとしても条例はこの街のしくみとして残ります。

富所:国会でいう所の議員立法ですよね?それって出来るんですか?むしろそういうのが出来る隙間みたいなのはあるんですか?
久保田:つくれます。今は桐生市では委員会として条例案の提案をして、可決するところまでは来ています。今度は議員とか会派で条例の提案をして審議をして、修正とかをかけて良ければ可決しようという方向に向って行く。今までそういう動きは無かったので、まずはアレルギーを取り払っていくことが必要だと感じます。
富所:アレルギーとは変えたくないっていうアレルギーですか?本当に単純に言うと、もう少し市議会見てて楽しいものにならないかなっ てのがすごくあるんですよ。国会でもそうだけど、この時代にインターネット中継までしててこんなにも面白くないのかと 。ニコ生とか YouTubeとか、映像を加工してメッセージがリアルタイムで流れてくるとかって形にしてようやくギリギリ観れるような感じですよね。

久保田:それが課題です。議会というのは見ていてつまらないですよね。炎上していたり激論していた方が面白いですもんね。前提としてですが、議会はルールの中で発言が許されています。議長に指されて初めて喋れる。自分が指されて質問したら今度は答弁者が指されて答弁する。これは全て記録に残していきます。後世にまで残るように紙ベースでしっかりと記録に残しておく。その記録に基づいてすべての議決が決まっていく。だからそれは仕方ない面も一部ある。ただ改革していける部分もあります。今、国会みたいにフリップ出したりしても傍聴席後ろなので見えないんですよ。言葉で残さなければならないですし、全て口で伝えるのが前提ですが、例えばモニターとかに資料などの情報を映しだすとかすれば来てくれた人はわかり易いですよね。そのほうが、中継見ている人もバラエティ番組のように見られると思うんです。そういう改革というのは、ルールの中でもできます。ルールそのものは、自治法で上位から順番に決まっていることなので、ひっくり返すことはできないですが、そのルールの中でわかりやすく改革することはできると思います。
富所:なんか難しいですね。1回桑田佳祐のモノマネなんかしながら…。そこまではいかなくてもいいですけど、注目されなければいけない、見られてナンボみたいな意識は多少持って欲しいですよね。

久保田:過去に桐生市議会の議場でも演奏とかをやったことがあるんですよ。例えば、議会が始まる前に、地元のアーティストさんが演奏とかライブをするとかどうでしょうか。 それは、お互いにメリットがあって、特殊な場だからこそ発信される情報があると思うんです。アーティストさんの力によって市民の皆様も議場にいらっしゃるので宣伝にもなる。ルールの中であれば何がダメということはないので、アイデア次第だと思っています。着物で議会をするとか、どんどんやっていいんです。議会の考え方が変わっていけば、自然とできることだと思います。

富所:それはひとえに、年齢がもう少し落ちていけばということなんですかね?

久保田:年齢が下でも上もいろんな考え方の人がいるので、やはり新しい開かれた議会への想いを持った人が増えればいいですね。新しい事は自分達もどんどん慣らしていってオープンにしていく。その作業をゆっくりだけど後退しないで進めていき、いつかはエンターテイメントと言っていいかわからないですけど、市民のみなさんが是非かかさず見たいという状態まで努力して持っていかなくちゃいけないですね。

富所:頑張って下さい。期待していますので!